村上龍「僕が具体的に嫌だったのは、『パラサイト・イヴ』という小説があって……」 浅田彰「あれは最低だね」
引用元:http://awabi.2ch.net/test/read.cgi/philo/1353778005/
>>812
村上「(前略)一つ、僕が具体的に嫌だったのは、『パラサイト・イヴ』という小説があって....」
浅田「あれは最低だね。」
村上「アニミズムだからね」
浅田「何でミトコンドリアごときに人格があるの。あれは人格がないからすごいんだよ。」
村上「全くそうなんですよ。そういう学問の場所にいながら、アニミズムになっちゃう。要するに人間には約60兆の細胞があって、
赤血球とか特別なものを除けばその細胞の中にはすべて核酸とミトコンドリアがあるわけです。どのミトコンドリアが反乱するのか。
そういうことを彼は全く無視して書くわけじゃないですか。DNAを臓器的に捉えるというレヴェルは単に無知ということで済むかも知れない。
だが、細胞器官や遺伝子に意志や言葉を与えることは、危険で許せない退行です。それを、けっこう名のある選考委員が、バンザイで迎える。
お前らはバカで済まされるもんじゃない。無邪気なバカではなく、危険なバカが増えつつあるんです。
その精神の退化がオウムが起こった年とパラレルになっていると思うんです。決して無縁じゃないと思う。」
浅田「アルチュセールがおもしろいことをいっている。科学者は最悪の哲学を選びがちである、と(笑)。
細かい実験をやってて、そこではすごくハードな事実に触れているのに、それを大きなヴィジョンとして語り出すと、
突然すごく恥ずかしい観念論になっちゃうことがあるわけ。それこそアニミズムとかね。」
村上龍対談集 存在の耐えがたきサルサ
(文春文庫)
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