虚像と実像@荒木飛呂彦
ファンタジーコミック大賞:荒木飛呂彦先生インタビュー
http://www.shueisha.co.jp/fantasy-taishou/araki/
――リアリティとファンタジーのバランスを保つために気をつけていらっしゃることは?
荒木 僕の場合は「日常を絶対に捨てないこと」です。どんなキャラクターでも、お風呂には入るだろうとかケータイは持っているだろうとか、何を食べているかとか、そういうのが非常に重要。日常のリアリティがあるからファンタジーがあるのに、日常を捨ててしまうと差が分からなくなっちゃうから。
だから、たとえば作品にロボットを描くにしても、ちょっと考えて欲しいんですよね。本当にその世界にいる感じが欲しい。ただガンと出てくるんじゃなくて、樹の陰から出てくるとかね。そういうのってシュールな感じがするんですよ。影が伸びて、ビルに映ってから出てくるとか。
映画の『トランスフォーマー』も、車が変形する時に、車の大きさで変形していって欲しいんですよね。それより大きくならないで欲しいんですよ。「明らかにちょっと身長おかしいだろ」みたいな。そういうリアリティはこだわりですね。
新人の場合は特に、そういう分かりやすいリアリティを、段階を踏んで表現して欲しいです。稀に画力で(作品に)入っていける場合もありますけど…。
――以前、別のインタビューで「必ずスタンドに弱点を作る」とおっしゃっていましたが、最初から「そうするべきだ」という直感があったんですか?
荒木 そうですね。僕は横山光輝先生の『バビル2世』が好きなんですが、戦う敵に必ず弱点があるんです。超能力を使うんだけどだんだん疲れてくるとか、そういうところを描きたかった。長所がある人は、それが裏返しで必ず弱点になるっていう発想が基本にあります。逆に、一見力が全然ない人でも、ある一点だけ強いとか。
――それってすごくリアルですよね。
荒木 スタンドがファンタジーなら、そういう部分がリアリティですね。
なるほど面白い。確かに、ファンタジーの中でのリアリティっていうのは大切だよね。中世を舞台にしたようなファンタジーだとしても、その時代の生活様式などを再現しないことには、深みというものがなくペラペラになってしまう。
SFにしても、全ての生活様式を完全にオリジナルなものにしてしまうと、とてもじゃないけど読者は付いていけないだろうね。やはりその虚像と実像の対比というものが、作品の面白さを形づける最大の要素なのでしょう。
もしリアルを追い求めませんというスタンスを持っている人がいたら、浮気せずにそれをとことんまで高めていってほしいと思うけど、そこまでの思いが無いならリアリティというものには気を使ってほしいものです。
荒木先生は「たとえば作品にロボットを描くにしても、ちょっと考えて欲しいんですよね」とおっしゃっているけど、これをエヴァに当てはめてみるとどうなんだろう。あれはリアリティがあるといえるのかな? 一応戦闘は市街地で戦ってはいるんだけど、個人的にはあまりリアリティを感じない作品なんだけど。
ちょっと内面世界を必死になって広げようともがいている感もあったりするから、そういう風に感じるのかもしれない。世間的な評価はどうなんだろうか?
トランスフォーマーの話は同感w でかくなりすぎ。
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