読書家・加藤あい


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対談 松田哲夫さん×加藤あいさん 〈上〉 深いテーマ、忘れえぬ一冊
http://book.asahi.com/special/TKY200912170239.html

松田 加藤さんは読書家だそうですが、いつもどのように本を選んでいるのですか。


1Q84 BOOK 1加藤 身近な人に面白かった本は何か聞いて参考にしています。ですから、今日は本のお話をおうかがいできるのが楽しみで。

松田 村上さんは世の中が変わる時に、それを予言するような作品を発表しますよね。『1Q84』では、政治や経済が大きく変わろうとしているこの時代に、善悪という深い問題を突きつけてきた。しかも知的なミステリー&ファンタジーという読み物にして。


加藤 今後、続編が刊行されるという噂(うわさ)も。それまでに私も読んでみようと思います。


ヘヴン松田 今年は読者の価値観を鋭く問う作品が続きました。川上未映子さんの『ヘヴン』も、いじめというものに目を据えて、何が悪いことで何が良いことなのかを問い詰めていく。読んでいて辛いのですが、心をわしづかみにする強さを持った優れた小説です。


加藤 いじめられる側といじめる側の両方の視点があって、読むうちに何が正しいのか分からなくなって、考えさせられました。

運命の人(一)松田 山崎豊子さんの『運命の人』も力作ですね。新聞社の記者が外務省の機密文書をスクープしたという、僕らの世代にとっては有名な事件をベースにしてあるんです。80代半ばにしてなお力強い筆致で描き切る。こういう作家は他にいないですね。


加藤 私の母がファンで、よく「あいちゃんにもそろそろ山崎さんの本を読んで欲しい」って言うんです(笑い)。私の世代が読んでも純粋に楽しめますか。


松田 『巌窟(がんくつ)王』のような、迫力満点の人間ドラマですから、興味がわくと思いますよ。

対談 松田哲夫さん×加藤あいさん 〈中〉 感情移入して疑似体験
http://book.asahi.com/special/TKY200912170237.html

パラドックス13松田 ミステリーの人気作家といえば東野圭吾さん。『パラドックス13』はSFっぽい作品でしたね。極限状況に追い込まれた人間たちの究極のサバイバル劇の中で、いろんな考え方がぶつかりあう。これも人間が生きていく上での善悪を考えさせる小説でした。


加藤 今の世の中のルールがまったく適用されない中で、それぞれの人の本質が見えてくるんですよね。東野さんの小説って、その世界に入り込みやすい描写がなされているのか、読むと情景が浮かびますね。


造花の蜜松田 ミステリーとして非常に面白く読んだのが連城三紀彦さんの『造花の蜜』。最初に誘拐事件が起きて、そこから何度もあっと驚くどんでん返しが続くんです。そして気がつくと、読者はとんでもないところまで連れていかれている。奥田英朗さんの『無理』は現実味のある話でしたね。地方都市でさまざまな問題を抱える男女5人が、自分の人生をどうにかしようとあがくんですが、どんどんひどい方向へ行ってしまう。みんなあまり好きになれないタイプの人たちなんですが、だんだん彼らがいとおしくなってきました。


イン・ザ・プール (文春文庫)加藤 奥田さんの『イン・ザ・プール』(文春文庫)の伊良部シリーズはユーモアたっぷりでしたが、これは……。


松田 登場人物たちを突き放しつつも温かく見守る著者の視線があるので、重苦しくはないですよ。

対談 松田哲夫さん×加藤あいさん 〈下〉 幸せな「本との出合い」
http://book.asahi.com/special/TKY200912170234.html>>

かあちゃん加藤 男性作家では、私は重松清さんが好きで。重松作品を読むと、性別も年代もまったく違う登場人物に感情移入できるんです。『かあちゃん』も面白く読みました。


松田 いろんなお母さんが出てきますね。強い母親、揺れる母親、静かな母親。どの母親も、悩みを抱える子供たちを見守って、本当に必要な時にそっと支えてくれる。あと、吉田修一さんの『横道世之介』は、『学問』と同じで現在と未来をうまく絡めた作品でしたね。80年代後半の、バブル絶頂期に大学生だった人たちの話。軽めの青春ドラマのようでいて、その軽さが、時間がたつととても大切なものに見えてくる、という作りになっているんです。

つみきのいえ加藤 今年は絵本でも話題作がありました。加藤久仁生さん・絵、平田研也さん・文の『つみきのいえ』は、映像作品が米アカデミー賞の短編アニメーション賞を受賞。絵本というと小さい子供が主役という印象ですが、これは独りぽっちのおじいさんの話。大人が読むと、子供とはまた違った視点で、いろいろと感じるものがあると思います。


松田 絵がステキですよね。


加藤 あたたかい色合いだし、おじいさんの表情やたたずまいが印象的でした。


編集者の方と普通に会話が出来るくらいほんとに色々読んでるみたいだね、加藤あい。あんまりメディアの露出が少ない方だと思うんだけど、これから彼女の見方が変わりそうな予感。


ところで中田浩二とは今どうなってるんだろう? と思ってちょっと検索してみたら、すでに破局してたみたいだね…。



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