ラノベ風・老人と海
- 128 :この名無しがすごい!:2010/06/05(土) 19:51:05 ID:65lgDljr
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老人と海 出だし
「俺ももう年だよな。もう八十四日も全然釣れねーし。」
メキシコ湾流に浮かべた小舟で俺はひとりごちた。始めの四十日間は俺のことをサラオ(スペイン語で最悪の事態)だとかいいやがる近所の口うるせえばばあのガキがくっついていたが、他の舟に乗った途端一週間で三匹も釣りやがる始末だ。
まったくついてねえ。まああいつは、俺が空の舟を引っさげて帰ると子犬みたいに目をうるうるさせて片付けの手伝いをしてくれるからいいやつにはちげえねえんだろうがな。
この前だってマストにぐるぐる巻きにした帆が、俺を負け犬だってほざいてる幻覚まで見えてきたぜ。相当きてんな。
俺は自分の痩せこけて皺だらけの体や縁起でもねえが、癌を思わせる褐色のしみを眺めた。両手にはところどころ深い傷跡が残っている。松方ひろきもひっくり返るようなでけー魚をフィッシュオンした時にできちまった傷だ。
まあ今じゃなくて随分昔の傷だから褒められたもんじゃねーけどな。
でも俺は諦めねえぜ、確かに俺も舟もおんぼろだ、だが目に力があるうちは大丈夫だろうよ。
スペインの釣りマニア三平の称号を明け渡すわけにはいかねーぜ。
「サンチャゴさん」
ガキが俺様の舟を引き上げてある砂地を登りながら言った。
「また一緒に行きたいっす。お供したいっす。自分資金もも随分たまったっす。」
今までガキに随分魚捕りメソッドを教えてやったからか、奴はすっかり俺の舎弟だ。
「だめだ」俺は言った。
「おめーが今乗ってる舟はラッキーじゃねえか。仲間と一緒にいやがれ」
「でも自分は覚えているであります。八十七日も不漁が続いた後で、自分達は三週間ずっと毎日大物を何匹も捕獲したであります。」
「あー覚えてらあ」俺は言った。
「知ってるぜ、お前が離れていったのは、俺の腕を疑ったからじゃないことぐらいは。」
「父上であります。いけないと言ったのは。自分はランドセルが似合う年齢であります。命令違反は極刑であります。」
頬を真っ赤にしていいつのる、自称小学生のミリタリーオタクに辟易しながら俺は言った
「わかってるよ。そういうもんだ。」
書くのは楽しい。しかしラノベになってるのだろうか疑問。
- 129 :この名無しがすごい!:2010/06/07(月) 00:30:15 ID:/++N+D4p
- うめえw
- 130 :この名無しがすごい!:2010/06/08(火) 21:31:11 id:g3SNYkwd
- 面白い。
- 131 :128:2010/06/12(土) 00:20:43 id:Xkf/3n3a
- >>129 >>130
褒めて下さってありがとう。舞い上がりました(単純)
書いてて凄い楽しかったし反応があるって嬉しいですね。
ちなみに、青空文庫見ながら書きました。
すごいライトノベルが書ける本
〜これで万全! 創作テクニック
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posted with amazlet at 13.04.01
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