文学は想像力を喚起する効用があるから読んでも無駄にはならんよ


文学のレッスン



339 :無名草子さん:2011/08/05(金) 13:59:24.14 ID:?
文学は想像力を喚起する効用があるから、読んでも無駄にはならんよ。
どういうことかと言うと、小説を読むと主人公になったつもりになる。
それは想像して別の人格になることだ。
別の人格になることは、面白いかもしれなくて、英雄の中に感情移入すれば気持ちがいいかもしれない。
そういうこともあるけれども、それだけではない。
他人の中に感情移入することができる習慣は人間精神の大切な能力の一つだ。
たとえば、そのために他人を害するという気がおこりにくくなる。
相手の気持ちになってみることで、つまり殺す側じゃなくて殺される側の身になってみれば、容易に殺そうってきにはならないだろう。
相手の身になって考えるということは、多くの倫理的問題を解決する。
文学を読むと、想像力を磨いて相手の身になって考える能力を発達させることができる。
少なくとも読んでも読まなくても、どうでもいいものではない。


342 :無名草子さん:2011/08/05(金) 14:44:56.86 ID:?
>>339
おそらく現代人の多くは、すでに小説の影響を多大にこうむっていると思う

たとえば、恋愛なんていう感情は、西洋の小説が上手に細部を描写してくれたからこそ、
我々にも共感できる感情として、広く受け入れられているような面がある

19世紀の文学は、人間の平等をうたった作品が多いけれど、さまざまな偏見を社会から
減らすことができたのも、ひとつには、小説などにより人間の無知や愚かさが糾弾された
影響が大きいはず

日本の文学史を読むと、日本では明治初頭、封建時代の偏見を打破し人間の平等を訴えた
政治小説が大いに流行したらしい

「文学士ともあらう者が小説などといふ卑しいことに従事するとは怪しからん」
坪内逍遙をそう批判した福沢諭吉でさえも、実は、みずから政治小説を手がけたことがあった
というから、当時の政治小説の影響の大きさがうかがえる




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