吉本隆明は「往相」「還相」という言葉を使っていた


「語る人」吉本隆明の一念


引用元:http://awabi.2ch.net/test/read.cgi/philo/1332513493

203 :考える名無しさん:2012/08/07(火) 19:00:01.13 0

吉本隆明は「往相」「還相」という言葉を使っていた。
仏教用語で、「往相」は往生に至る道、「還相」は往生した人が衆生を救おうとすること、ということのようだ。

吉本はこれを知識人のあり方として取り上げている。
「往相」は人が知識を得て知識人となっていく自然な成長過程。
「還相」はその知識の中に大衆の原像を取り込んで大衆と対峙する。

「啓蒙」の場合は、ある一定の知識の不足するレベルの大衆を想定して、自分の知見をそのレベルに合わせて簡略にして大衆に提示する。
「還相」は、自分の知見に大衆の原像を取り込んだより豊かな知見として大衆に提示する。
図式的に言えばそういうことになる。

そういう意味で「啓蒙」しようとする知識人は多いが「還相」を実現している知識人は非常に少ない。
少しでもそうした人が出てくることを期待している。





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