ドストエフスキーは心理学を嫌っていたらしい


ドストエーフスキー覚書 (ちくま学芸文庫)


引用元:http://toro.2ch.net/test/read.cgi/book/1349415233/

405 :吾輩は名無しである2012/11/05(月) 05:13:20.07
ドストエフスキーは心理学を嫌っていたらしいけど
それについての具体的な発言、著述を知りませんか?




407 :吾輩は名無しである2012/11/05(月) 08:16:11.30
ドストの時代の心理学の内容や、心理学の歴史調べるのも面白いかも知れないな。



408 :4052012/11/05(月) 09:26:25.80
>>406
ドストエフスキー詩学」のレビューに

ドストエフスキーの小説は、人物たちのそれぞれの自意識を通したヴィジョンによって

展開されていき、それぞれの自意識は十分に尊重されています。

作者は人物たちの自意識に対しての、個人的な断定調の評論を留保します。これは

ドストエフスキーが心理学を嫌っていたことにも関わってくることです。(一方で

フロイトドストエフスキーの文学を研究対象にしていましたが)」

ってあったから、気になりました。
たしかにドストの作品で、登場人物にさんざん独白させておいて、だから彼はこういう病気なのだって断定したり、
あと顕著なのは、登場人物の幼少時の生育環境や両親との関係を述べて、だから彼はこんなトラウマを負った、だから彼はこういうパーソナリティになったっていう説明がないですよね。ラスコーリニコフが実は父親から殴られていて・・とかそんな説明はなされません。
自分もまだ数作のドスト作品しか読んでいないので、断定はできませんが。
日本にも、一頃トラウマ語りの小説が流行りましたが、ドストはそういうものとは距離を置きつつも
人物の内面描写に成功した作家だと思います。っていうか欧米にもトラウマ語りの小説や文学ってあるのかな。
自分もいろんなトラウマを抱えてメソメソした人間ですが、トラウマ語りの小説を見ると一種の嫌悪感と
またこの手の作品かという脱力感を覚えます。




410 :吾輩は名無しである2012/11/05(月) 09:59:13.63
ドストエフスキー私小説なんかを書くには「作家過ぎる」と何度も…
常人にはトラウマになるような事態ですら、ドストにとっては
小説のネタ、あるいは作中人物の原型でしかなかった。




412 :吾輩は名無しである2012/11/05(月) 13:14:59.52
>>410
トラウマ語りをするにはドストは「作家過ぎる」のか。
そもそも欧米の主流文学にはトラウマ語りをする風潮はなく、
日本特有の風潮であるのか。
どちらでしょうか。

地下室の手記でさえ、学生時代の呪詛こそ並べられているものの、
近親関係に関しては「ぼくをこの学校に押しこんだのは、遠縁の親戚にあたる連中で、・・
・・彼らの叱責でもういい加減いじけきって、妙に考え込みがちの、無口な少年になり、いっさいを白い目で
見るようになっていた孤児同然のぼく・・・」ぐらいしか語られていません。

カミュの異邦人のムルソーも、自分がこのような人間になったのも、実は母との間にこういう過去があったからだと独白したりしないし、
作家ではなく、哲学者ですがニーチェも、私がこのような思想に至ったのも、幼くして父をなくし、母とはこういう関係であったのも影響していよう
などと繰り言を述べたりはしない。
やはり、日本特有の風潮なのでしょうか。




413 :吾輩は名無しである2012/11/05(月) 13:49:24.82
>>408
フロイトがトラウマ理論発表したのは1895年(ドスト死後14年後)だから、ドストが精神分析的手法を
小説の中に取り入れるのは不可能だろう。
フロイトはドストが死んだ年に25歳で、ようやくウィーン大学を卒業したところだよ。





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