【まんが道】自伝的作品が43年で完結、藤子不二雄A「まさかこんなに長く続くとは思わなかった」
引用元:http://kohada.2ch.net/test/read.cgi/rcomic/1364966230
「まんが道」仲間に捧ぐ
トキワ荘を舞台とした自伝的作品、43年で完結 藤子不二雄A
まさかこんなに長く続くとは思わなかった。僕と藤子・F・不二雄こと藤本弘氏のコンビ「藤子不二雄」の自伝的漫画「まんが道」と
その続編「愛…しりそめし頃に…」のことである。43年間、4誌にわたって発表し、12日発売の「ビッグコミックオリジナル増刊」(小学館)の
最終話で完結した。幾度かブランクを経たが僕にとっては一番のロングランになった。
秋田書店の「週刊少年チャンピオン」に描いたのが始まり。編集部の注文は「漫画の描き方について4ページで連載してほしい」と
いうものだったが、僕は欲張りなタチ。4ページもあるなら「描き方」は2ページにして、残りは僕らの歩んできた道について描くことにした。
〆 〆 〆
ほとんど実話
先日見つけた初回のスクラップには「巨弾連載ギャグ劇画」とある。当初は、後のようにリアルに描く意図は全くなかった。
主な舞台は東京・椎名町のトキワ荘だ。まず手塚治虫先生がいて、その後は僕たち、石森(後に石ノ森)章太郎氏、赤塚不二夫氏ら
全国から漫画青年が集まった。アニメーターになった鈴木伸一氏、兄のように面倒を見てくれた「テラさん」こと寺田ヒロオさんもいた。
東京出身のつのだじろう氏は毎日のようにスクーターでダッダッダッとやってきた。
テラさんを総裁に「新漫画党」というグループを結成し、夜はサイダーに焼酎をちょっと垂らした「チューダー」でワイワイ宴会。
漫画の話は一切せず、映画のことなんかで盛り上がった。それから何十年、ケンカらしいケンカをしたことがない。こんな仲間たちに
巡り合えて幸運だった。
僕が描いたのはほとんど実話だ。多少オーバーなところがあっても完全なフィクションはない。執筆には当時つけていた日記や家計簿、
写真、新聞のスクラップが役立った。描き始めたら面白くてどんどこ筆が進んだ。
この漫画は上から見下ろした視線で描いたら成り立たない。主人公の満賀道雄が同じ目線か、あるいは下から周りを仰ぎ見て
感激することが重要な要素になっている。手塚先生や赤塚氏、石森氏たちの作品にいちいち感動し、「僕もがんばらないと」と発奮する。
実際、トキワ荘にはそんな相乗効果があった。駆け出しのころ、オーバーワークで原稿をほとんど落とし、
出版社から干されてしまったことがある。だが夜中に目が覚めて共同のトイレに行くとどの窓にも明かりがついていてみんな徹夜で
仕事している。それを見て「じゃあ俺たちもまた一から持ち込みの原稿でも描くか」と意欲がわいた。
藤本氏と「そのうち何とかなるだろう」と言っているうちに本当に何とかなって、また漫画の注文が来るようになった。
一人だったら絶対に再起できなかっただろう。
「愛…」の連載が始まったのが95年。その後、藤本氏、石森氏、赤塚氏が亡くなった。ものすごい喪失感だった。
逆にそれを埋めようと作品に没頭した面もある。描いている間はトキワ荘の時代に戻れるから。追悼の気持ちを込めてきた。
もう少し続けたいけれど、僕も79歳。現役でいられるのはありがたいがそろそろ限度かなあ、という気もしてきた。
惜しまれつつ去るのが良いだろうと幕引きを決めた。
最終話をどうするか非常に悩んだが、ヒヨッコだったトキワ荘の面々が巣立つところにした。偶然にも、
藤子不二雄の出世作「オバケのQ太郎」と石森氏の「サイボーグ009」は連載開始が同年、赤塚氏もそのころギャグ漫画家として
頭角を現していたのだ。
実は原稿を仕上げた後の3月下旬、大腸のポリープを除去する手術のため2週間ほど入院した。大量出血して輸血することになり、
5日間も集中治療室に入った。今まで大病したことがなくて元気自慢だった僕が、である。意識を失い、悪夢にうなされ続けた。
不思議な夢も見た。黒澤明の映画「夢」の中でどういうわけか、僕が笠智衆演じる老人になっている。故郷の村にいて、
道の先から藤本氏や石森氏、赤塚氏が「こっちに来い」と呼ぶのだ。何ともリアルだった。今はもう元気になったけれど、
行っていたらどうなっていただろう。
無事に終えた僕のライフワークをトキワ荘の仲間たちにささげたい。(ふじこ・ふじお・えー=漫画家)
>>303-304
書き起こし?ありがとう!!!!
手術決まってたから最終回描いたみたいにも読める
ちょっと寂しい文だね…
しかし危篤の時見た夢も黒澤ってファンの面目躍如だな
>>303-304
ありがとう。
本音ではトキワ荘を出てから巨額の富を掴むまでを描いて欲しかったんだけど
藤子不二雄物語というより、トキワ荘物語なんだよね。
A先生の日記は秀逸なので、まだ書籍化されていない日記を世に出して欲しい。
幕引きってのは愛知り完結のことだよね?
この言い方だと引退表明と取れなくもないんだが
連載ってのは年齢的にもう責任が持てなくなっただけで、断筆はしないと思うけどな。
というか自然に読むと引退表明
A氏の文、いいよね。もっと読みたい。
安孫子素雄として再デビュー
愛…しりそめし頃に… 11 (ビッグ コミックス〔スペシャル〕)
posted with amazlet at 13.04.20
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