『世界一受けたい授業』ジブリ・鈴木敏夫が語る“宮崎監督の常識では考えられないアニメの作り方”


ジブリ鈴木敏夫宮崎駿アニメの秘密を暴露!『世界一受けたい授業』2時間SP 寿命計算、腰痛解消、肌ケアの方法も大公開
http://dogatch.jp/news/ntv/17068



たまたま新聞のテレビ欄を見ていて、“鈴木敏夫”というワードを発見してしまったので録画して観てみた。


7月20日に公開する宮崎駿監督の最新映画『風立ちぬ』の宣伝も兼ねてということなのだろうけど、こういったバラエティ番組に出演するというのも貴重なことだと思うので、興味深く見させていただきました。


授業と言っても、ジブリ映画のトリビア的なことを芸能人の方から質問を受ける形で答えるという内容だったので、それなりのジブリファンなら既知なことばかりだったかもしれないね、たぶん。


まさか“トトロの都市伝説”についても直接鈴木Pに質問しちゃうとかちょっと驚く部分もあったけれど、そこははっきりと否定していたのでホッとした気分でもあり残念でもあり色々ですな。




まあ、そんな中でも個人的に気になった部分を以下に書き起こしてみた。聞き取りづらかった部分は適当なのであしからず。



★宮崎監督の常識では考えられないアニメの作り方とは?

普通映画っていうのは必ずシナリオってものがあるんです。つまり、どういうお話で、最初の始まりはこうで、途中でこういう事件があって、最後はこう。ところが、宮崎作品にはシナリオが無いんですよ。


彼は思いついたことを絵に描いていくんですけれど、そうすると20分ぐらいできるとね、みんなにもう一斉に描けって言うんですよ。描きはじめる。ところがその先の物語、どうなっていくかは誰も分からないんですよ。実は宮崎監督も分かっていない。段々最後に近づいていくでしょ、最後というのもね、どうなるか分からないんですよ。


これはねぇ、スピルバーグっていう人がジブリに来た時にその話をしたら、彼もびっくりしていました。でもねぇ、一番びっくりしているのは、いつも僕なんですよ。なるたけ短く作って欲しいんです。

小説家とかだったらこういう書き方をする人もそれなりにいるんだけど、それは一人で作業しているから出来る事であって、これをアニメの現場でやられたらかなり大変そうだなぁ。



★結末を決めずにストーリーを作るメリットは?

やっぱり結末が分かってるモノを作るというのは、なんかねぇ、仕事がルーティン(日常)化する。そうではなくて、監督自身が分かっていないモノを皆で作る、このスリルとサスペンスを味わうのが、たぶんこの作品に良い影響を与えるだろうということなんです。

ほんとに宮崎監督がそういう意図でもって創作しているのかちょっと疑問ではあるものの、まあ緊張感溢れる現場であるのは間違いなさそう。



エヴァ庵野秀明監督がジブリにやってきた話

彼はね、ボストンバッグと自分の描いた絵を持って、ある日ジブリを訪ねて来たんですよ。「俺に仕事をさせろ」と。それで宮崎駿が彼の描いた絵を見た。なかなか絵だけ見てもねぇ、分からない時があるんですよ。しかし、当時の庵野秀明、たぶん23歳ぐらいだと思いますけどね、ほとんど喋らない。見た目がね、テロリスト風。顔が気に入ったんですよ、宮崎駿は。


で、プロじゃないですよ、ほとんど素人。その彼に「この巨神兵やってみないか、お前なら出来る」、これで彼も意気に感じて、その日からね、泊まる所がないからスタジオで寝起きしたんですよ。それで巨神兵のシーンをねぇ、見事に作り上げてくれたんですよ。

庵野監督が巨神兵のシーンを描いたというエピソードは知っていたけれど、こんな感じでジブリ作品に参加することになったとは驚いたなぁ。行動力はあっても喋らないってところが庵野さんらしくも感じるw



それにしても、番組の最後に鈴木さんが「『風立ちぬ』は宮崎監督の“遺言”です」と言ったところがちょっと衝撃だった。まあ年齢的にはそうなるのかもしれないけれど、それを改めて言葉にされると結構ショッキングなものだね。


いつまでも良い作品を作り続けていただきたいと願うものの、そうはいかない現実に直面しつつあるというのはファンとしても結構辛いものです。まあ、あんまり考えないようにしよう。







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