星新一『妖精』の粗筋


ボッコちゃん (新潮文庫)


引用元:http://toro.2ch.net/test/read.cgi/book/1365342084/

961 :吾輩は名無しである:2013/06/16(日) 12:03:14.94
星新一の「妖精」粗筋

…とある若い女性のところに妖精がやってきました。彼女は頭もいいし、美人で才能も
ありましたが、ライバルの存在がとても気になっていて、なんとか1歩リードして
やりたいという思いでいつも頭が一杯でした。

そんな彼女に妖精は「何でも願いを叶えてあげるわよ」と言います。
「素敵な恋人でも?」 「もちろん」
ライバルに恋人がいないことを知っていた彼女は喜びます。
「じゃあお願いするわ。これであの子を見返してやれる」

すると妖精は「ちょっと待って」と言い、妖精が叶える願い事のルールを知らないの?と
言い出します。願いが叶うとき、ライバルにはその2倍がもたらされるのだと。
「つまりあなたのライバルには素敵な男性が2人現れるのよ」
それを想像したとたん、つまらなくなった彼女は「じゃあ恋人はやめるわ」と言います。

「宝石でもいいのよ」と妖精は言ってくれますが、「ただし、ライバルには2倍の大きさの
宝石がいくけど」と言われると、それも欲しくなくなります。せっかく手に入れても、
ライバルに自慢できないんじゃ意味がない、と思えるからです。

「妖精って意地悪ね」とぼやく彼女に、「そうかしら?私たちはなんでも叶えてあげられる
のよ。断っているのは人間のほうじゃない。どっちが意地悪かしら?」と妖精は言います。



962 :吾輩は名無しである:2013/06/16(日) 12:03:54.02
(続き)

彼女は必死に願い事を考えました。欲しいものはあれこれ浮かんでも、敵視しているあの子
がその倍を手に入れると思うと、どうしても願い事を口にすることができません。

「そんなにライバルを見返してやりたいならこんなのはどう?」と妖精が提案します。
「自分が醜くなるように願えばいいのよ。そうしたら相手はもっと醜くなるわ。片手を怪我
するように願えば向こうは両手を怪我するのよ」
理屈はそうかもしれないけど、自分を醜くしてくれ、なんて願う女性がどこにいるでしょう?

さんざん考えたあげく、彼女は素晴らしいことを思いつきました。
「やっと決まったわ。これをお願いするわ」 「なあに?」
「ライバルのあの子に取りついてちょうだい。なんでもできるんでしょう?」
妖精はそれを聞いてもあまり驚きませんでした。
「みんな同じようなことを言うのね。わかったわ。でも私は二度と戻って来られないのよ」
「構わないわ」
そして妖精は飛び去り、二度と姿を現しませんでした。

彼女はわくわくしながら待ち続けましたが、いくら待っても一向に良いことは起こりません。
その意味を考え、やっと彼女は悟りました。
「私は彼女をライバルだと思い込んでいたけど、彼女は私をライバルだなんて思っていなかったんだわ…」



963 :吾輩は名無しである:2013/06/16(日) 12:18:38.64
>>961>>962
とんちが効いていてなかなかよい。






【関連記事】


→月別よく読まれた記事ランキング
→Twitterで更新情報を配信しています
→Facebookで更新情報を配信しています