皆と同じは絶対イヤ(無理)な奥田英朗


無理


【話の肖像画】だから人間は面白い(上)作家・奥田英朗
http://sankei.jp.msn.com/culture/academic/091124/acd0911240243001-n1.htm

本が売れない時代にあって、ヒット作を連発する人気作家が描きたいのは「人間の滑稽(こっけい)さ」だという。時にはユーモラスに、時にはシリアスに現代の病理、不条理を見事にあぶり出す。

【話の肖像画】だから人間は面白い(中)作家・奥田英朗
http://sankei.jp.msn.com/culture/academic/091125/acd0911250245001-n1.htm

−−奥田さん自身は音楽評論家になりたかった?


奥田 20代のころまではそう思っていましたね。故郷にはそれほど思い入れもないし、早く東京に出たかった。だって、東京ならば、いろんなコンサートをやっているでしょう。

 
−−広告業界にいた20代のころは、バブル景気のまっただ中…

 
奥田 みんな羽振りが良かったし、熱気もあった。ただね、昔は若いヤツの意見なんか、誰も聞いてくれませんでしたよ。特に「若い男」のなんてはね(苦笑)。今じゃ、ネットを通じて、若い人でも誰でもが、言いたいことが言える。新聞やテレビに独占されていた情報が開放されたのはいいことだと思いますが、「ネットの掲示板」のような世界にはちょっとついていけません。

 
−−「匿名で言い放し」ですからね。コミュニケーションの取り方も随分、変わってきました

 
奥田 会ったこともない若い人が、いきなり携帯に電話をかけてきたりね。出ると、「奥田先生ですか」って(苦笑)。“いきなりメール”というのも結構、多いですね。

ん? なんで知らない人から携帯に電話がかかってくるんだ? どこかで携帯の番号を公表してるんだろうか? いや、まさかぁ。もしやネット上とかで闇の業者に曝されちゃってるのかも。



【話の肖像画】だから人間は面白い(下)作家・奥田英朗
http://sankei.jp.msn.com/culture/academic/091126/acd0911260248000-n1.htm

−−近年、「活字文化」の危機がささやかれています。新聞、雑誌、書籍…いずれも厳しい。とりわけ若者たちの“活字離れ”は深刻です


奥田 僕自身も長い活字を読む忍耐はあまりないので、えらそうなことは言えませんが…(苦笑)。確かに、「活字文化」は徐々に衰退していっているのかもしれませんが、無くなることは絶対にないと思います。例えば、本なら「その形」で本棚に置いておきたいという人たちは必ずいますからね。

 
−−装丁も含めて、ひとつの作品だと…

 
奥田 そうです。実は、本よりも心配なのは雑誌の衰退ですよ。あれだけ隆盛だったマンガ雑誌ですら最近は部数を減らしています。僕たちのころは、サブカルチャー(大衆文化・若者文化)を追い求めて、『ポパイ』『ブルータス』といった雑誌を懸命に読んだものです。ところが、今の若者たちには、サブカルチャーどころか、メーンカルチャーすら、あるのかどうか…。

 
−−本でも「売れっ子作家」になれるのは、ごく一部でしょう

 
奥田 それは(読者や編集者が)「新しいもの」を探そうとしないからですよ。安易に“流行”に飛びついてしまうでしょ。僕の若いころなんて、ひねくれていたから意地でも流行しているものは買わなかった。「皆と同じ」は絶対にイヤなんです。ジョン・レノンが死んだときも、(遺作となった)『ダブル・ファンタジー』をずっと、買わなかったぐらい(苦笑)。

なるほどー、流行に飛びつく人っていうのは、“新しいものを自分で探そうとしない人”ってわけなんだね。なんかすんごい納得しました。まあ結構日本人って、右向け右の、売れてるんだから絶対良いものに違いない、ってな感じで盲目的に信じてる人が多い感じだもんね。


まあそれを全否定するつもりはさらさらないんだけど、でもそういうのだと絶対“審美眼”というものを養うことはできないだろうな。もしかしたら、そういう人達は審美眼なんて言葉も知らないかもしれないけれど。


だけど物って売れてなんぼの世界だからなぁ。創作者の方も「新しいもの」よりも、売れ線を狙うようになるかもしれないのが怖いところだ…(なってる人もいると思う) けれども、創作者にも生活があるから、そこを非難することはできないけどね。



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