ある山には、人を騙して頭をつるつるに剃ってしまう狐がいたそうだ


狐 (日本の童話名作選シリーズ)


962 :おさかなくわえた名無しさん2012/04/03(火) 00:26:48.65 id:RASu3Jyh

ある山には、人を騙して頭をつるつるに剃ってしまう狐がいたそうだ。
麓の里に住む若者は、その狐を懲らしめてやろうと、ある晩山で待ちかまえた。しばらくすると狐はのんきに現れ、若い女に化けた。
狐女は道端の地蔵を抱えると、地蔵は赤ん坊に変わった。女と赤ん坊は里に降りていき、一軒の家に入っていった。
女の後をつけてきた若者が戸の隙間から中を覗くと、じいさんが赤ん坊をあやしている。もちろんあの地蔵だ。
若者は家に入り、じいさんに女が狐で赤ん坊が地蔵だと話したが、じいさんばあさんは聞く耳を持たない。
証拠を見せてやれ、と若者は赤ん坊を奪い取ると、沸いているお湯の中に投げ込んだ。
しかし赤ん坊は地蔵に戻らず、そのまま死んでしまった。
若者は真っ青になり、じいさんばあさんは奉行を呼ぶ、と大騒ぎになった。
そこに通りかかったのが寺の坊さんである。事情を聞くと、若者を出家させ赤ん坊の冥福を祈らせるから、とじいさんばあさんを説得する。
じいさんも渋々それを認めてしまった。
若者は剃髪し、赤ん坊のためにお経を読み続けた。

夜が明け、ふと我に返った若者は周りを見渡すと、じいさんばあさんも坊さんもいない。
頭に手をやると髪の毛はすっかり剃られていたのである。





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