仲野羞々子「世間では三島のことを貴族だといい、貴族に間違いないことを信じている」
世間では三島のことを貴族だといい、貴族に間違いないことを信じている。
本人もそれを信じ、敢えてそのようにふるまってきたところから、
間違いがはじまっているように思えてならない。
平岡家の分家三代目の彼は貴族であっても、初代の祖父 定太郎は貧農出身
の成り上がり者であることを、彼は知りつくしておりながら、とことんまで
それをかくし通し、優雅な家系のように誇示したあとが気になる。
胸の底にうごめく貧農コンプレックスを、貴族のポーズで克服しようとした
としか思えないふしがある。
(仲野羞々子『農民文学』第九十三号所載)
脱・コンプレックス ~IKKO流 美のゴールデンルール~
posted with amazlet at 12.04.06
【関連記事】
- 三島由紀夫「偉大な作家には、おもてむきの傑作と、裏側の傑作があるらしい」
- 三島由紀夫「愛するといふことにかけては、女性こそ専門家で、男性は永遠の素人である」
- 三島夫人(平岡瑤子)はお見合い後、三島との結婚にかなり乗り気だったらしい
- 三島由紀夫「ビートルズ・ファンの女の子たちが『ジョージ!』などと叫びだすのを見ると心配になつてしまふ」
- 三島由紀夫「かつて颯爽たる『鉄腕アトム』を想像した手塚治虫も、『火の鳥』では日教組の御用漫画家になり果てた」
- 芥川賞作家・田中慎弥がこれまでに読んできた中での小説ベスト5+2
- 三島由紀夫「漫画は何が何でもをかしくなくてはならぬ」
- 三島由紀夫「八十年の生涯を通じて、谷崎潤一郎氏がほとんど自己の資質を見誤らなかつたといふことはおどろくべきことである」
- 三島由紀夫が今の草食系とか言われてる男どもを見て何を思うだろうか
- 淀川長治×三島由紀夫
→月別よく読まれた記事ランキング
→Twitterで更新情報を配信しています
→Facebookで更新情報を配信しています