ドストエフスキーの特異な理解力


ドストエフスキイと日本文化―漱石・春樹、そして伊坂幸太郎まで


引用元:http://toro.2ch.net/test/read.cgi/book/1349415233/

262 :吾輩は名無しである2012/10/21(日) 21:54:04.70

>>259

同時代人のストラーホフは、ドストエフスキーの特異な理解力についてこう述べてるね。
バフチンに言わせると、ポリフォニックな共感性ってなるかな。

ドストエフスキーの中には一種独特な分裂が、おどろくほど明白に現れていた。
一人の人間があるいくつかの思想や感情にきわめて生き生きと打ち込んでいるのだが、たましいの
中には、その自分自身を、自分の思想と感情を見つめている、確固として微動もしない視点を
保持している、そういう分裂である。かれは自分でもときどきこの特質について語り、それを
『内面省察』と名づけていた。
このようなたましいの構造から生じることとして、次のようなことがあった。すなわち、自分の
たましいを満たしているものについて判断を下す可能性をその人が常に保有していること、
相異なる感情や気分がたましいの中に広がるのだが、しかし、それらがたましいを完全に領有して
しまうことがないということ、そのたましいの深い中心からエネルギーが生じて、それがその人の
活動全体と創造の内容の全体をいわば蘇生させ変貌させるということ。
ともあれフョードル・ミハイロヴィチは、その共感力の広さによって、相異なり互いに対立する
いくつもの観点を理解する能力によって、常にわたしをおどろかせた。」


岩波書店 中村健之介著「知られざるドストエフスキー」中で引用されているストラーホフの「ドストエフスキーの思い出」より抜粋)





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