米原万里『魔女の1ダース』に佐藤優さんが出てくるね
引用元:http://toro.2ch.net/test/read.cgi/books/1339200470/
米原万里の「魔女の1ダース」の「第13章 強みは弱みにもなる」に佐藤さんが
出てくるね。
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「最近、ドギツイものの何となく間の抜けた話を自動小銃から乱射するような
友人を得た。仕事がら海外に行くことの多い人で、仮に須藤敏夫さんと名付けよう。
この人は哲学徒にして神学徒で、しかも自称スパイであるからして、皮肉屋で
偽悪的なところと、いやに説教くさく正義漢ぽいところが奇妙なごった煮状態に
なっている。近頃この国ではなかなか見かけない青年で、話していて退屈しない。
いつも少し気取って、普遍的抽象的命題を投げかける形で話を始める。たとえば
ある時、こんなことを言った。
『人間にとって弱みとは、何だと思う?』
いきなりそんなことを問われて
『さあー』
なんて、ちょっと困惑したふうに頭を傾げると、嬉しそうに鼻の穴を膨らませながら、
物々しいテーゼを口にする。
『どの人間にも共通する弱みなんて存在しないのよ。弱みとは、その人間が弱みと
思いこんだ時点から弱みとなるんだなあ』
『アレッ、そうだろうか』
などと、こちらかが一瞬考え込んだりしようものんあら、ギョロ眼を輝かせる。
『インドネシアのスカルノ大統領がね』
『ああ、あのデビ夫人を第三夫人にした、インドネシア建国の父ね』
『そうそう。その故スカルノ大統領がモスクワを訪問したとき・・・』
須藤さんは言いたくて言いたくて仕方がないのに、こちらをじらそうと勿体つけている。
でも、結局自分のほうがじれったくなったらしく、一気に話を吐き出した。あまりに急ぐ
ものだから、息継ぎもできない様子である。
『ソ連のKGBが近づけた美女に引っかかって、その美女と過ごしたベッドでの一部始終
をバチバチ写真に撮られちゃってね。もう、ありとあらゆる狂態、尻の穴までしっかり
カメラにおさめられちまった。この写真を見せてスカルノを脅し、ソ連の思い通り動く
傀儡に仕立て上げようと、KGBは考えたわけね。
写真を見せつけられたスカルノは、震えが止まらなくなったんだけど、それは怖かった
せいじゃなくて、喜びのあまりだったの。キャーキャーはしゃいじゃって、写真持ってきた
男を抱きしめんばかりにして言ったそうだよ。
いやあ、素晴らしい写真をありがとう。ほんとにありがとう。おかげで明日から今までの
10倍楽しめるよ』
これ以後、KGBは相手を脅そうとするtとき、女だけでは、相手を落とせないこともある、
と学んだみたいなんだ。酒に睡眠薬を入れて酔い潰して、眠っているところを裸にして
男と絡み合ってる写真もバチバチ撮るようになったらしい。こんな写真、本国のマスコミ
に送りつけると脅されたらビビるでしょう、普通?」
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佐藤の本に米原のエピソードは多いが、米原の本に佐藤のエピソードが出てくるのは
初めて読んだわ。2人はお互いに知的刺激を受けていたのだろうね。
>>767
スカルノ「あぶねー動揺してんのバレなくて良かった」
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